今日の一曲 No.15:J・S・バッハ「無伴奏チェロ組曲 第1番」(ピエール・フルニエのチェロ)

「今日の一曲」の第15回、J・S・バッハの「無伴奏チェロ組曲第1番 BWV1007」を紹介する。

 

数日前(12月24日)のブログに、「静寂な時を過ごす~人生を豊かにするコツ~」と題して載せた。

同ブログの中では、早朝と就寝前に習慣にしている15~20分間の「瞑想のマネごと」もその一つの方法として書いた。

 が、もうほんの僅かに少しだけアクティヴさのある過ごし方も最近は取り入れている。

「瞑想のマネごと」にまで身体の動きを停めてしまうのではなく、部屋をゆっくりウロウロと歩いてみたり、手足をゆっくりと動かしたり、軽いストレッチをしてみたりなどもする。もちろん、座ってじっとすることもあり。つまりは、静かに身体を動かすことには制限をかけない。ただし、呼吸をしていることと、動かしている身体部分に意識を向けておくことは瞑想と同様だ。「動く瞑想」とでも言っておこう。やはり15分~20分程度だ。

「動く瞑想」と呼ぶことに、「ヨガ」や「マインド・フルネス」を専門にされている方からしたら御異論もあろうかと思うが、私的な表現だ、ご容赦願いたい。

 

で、この「動く瞑想」に入るときに先ず最初に、J・S・バッハの「無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV1007」を部屋に流して聴く。

ただし、ピエール・フルニエの演奏のものだ(上の写真)。

 

2ヶ月ほど前に手に入れたばかりの再盤のCDだ。

第1番の他にも、「第3番BWV1009」と「第5番BWV1011」が収録されていて、録音は、1960年12月と1961年2月、ハノーファー、ベートヴェンザールでのものだ。

 

これが、「動く瞑想」時に最適というわけだ。

チェロ1本だけの無伴奏曲で音がシンプルで良い。が、フルニエの演奏は、静かな上品さだけでなくテンポが適度に動き揺らいで主張する力強さも時折感じさせる。こうした呼吸感や音量の変化は、身体を座らせていても軽く動き出すときも丁度良く感じられる。加えてフルニエのチェロの音色は落着きと奥行があって深い。この音色を確りと感じられる録音がなされているのも嬉しいが、身体の動きをゆるやかにもしてくれる音色に感じる。シンプルだが決して単調にならずにゆるやかな身体の動きを自然と導いてくれる音だ。それで、「動く瞑想」には最適というわけだ。

また、第1番の第1曲から第6曲まで聴くと約20分で時間的にも適当だ。

 

フルニエの無伴奏チェロを、このために探し求めていたわけではない。

ピエール・フルニエの演奏を純粋に求めて20年ほど前か、もっと前だったかもしれない、いろいろなところを当たって探し廻ったことがある。当時はとうとう見つけられなかった。LPレコード盤では販売されなかったのだろうか、ようやく、ここで出会えたというわけだ。

ま、CDではあるが・・・と、お決まりのように寂し気に書く(笑)。

でも、やはり出会えて良かった。

 

「動く瞑想」に入る前に聴いてみたのは単なる偶然だ。

ところが、こうしてみると、その直前までの思考と行動を切り替える切っ掛けになった。「動く瞑想」の時間に入り易くなったのだ。 3週間前くらいから始めた。

 

不思議に感じる。以前は探し廻っても見つからなかったのに、今になって難無く出会えて、これが、現在まさに自身で取り入れたい生活の時間の助けにもなっている。片想いの人にようやく出会えて会話を交わしているようだ。ん?例えが適当ではないか(笑)。

 

それよりも、「過去」・「未来」に囚われるのではなく「現在ここに在る」を感じる時間を導いてくれる音として、ピエール・フルニエが演奏するJ.S.バッハ作曲「無伴奏チェロ組曲 第1番 BWV1007」を、「今日の一曲」として紹介させていただいた。