今日の一曲No.37:はしだのりひことシューベルツ「風」

「今日の一曲」の第37回目。

第35回目から続けて懐かしい感じの70年代前半頃のEPレコード盤を紹介している。

 

前回の第36回目から少しだけ時を巻き戻して、小学6年生の頃へ。

初めて自分でレコード店へ行ってEP盤を買ってから(第35回目で紹介)半年くらい後のことだったと思う。

ただ、EP盤としては、今日ご紹介の盤の方がそれよりも数年前に出されていたものらしく1969年とある。

「はしだのりひことシューベルツ」のA面に「風」、B面に「何もいわずに」が収録されたEPレコード盤だ(上の写真)。

 

「はしだのりひことシューベルツ」について、あらためてジャケットの裏面を見ながら簡単に紹介させていただくと・・・、

当時、同志社大学4年生だった はしだのりひこをリーダーに、その後輩の越智友嗣、同じく井上博と、立命館大学の3年生だった杉田二郎も加わっての4人で、1968年に結成したフォーク・ユニットらしい。

 

さて、当時、小学6年生の少年は、A面の「風」という曲に目的があって買ったという記憶だ。ただ単に、自らが聴きたいという欲求だけではなかった気がする。学校の音楽の授業でだったか行事関係でだったかで、「風」を合唱することになってだったはずだ。

 

小学校低学年の頃にあったGSブームが去って少しするとフォーク・ソングという枠の音楽が随分と耳に入ってくるような時代になっていたことを憶えている。自身は相変わらずクラシック音楽を聴くことの方が多かったが、それでも、小学校の昼休みに、「Peter Paul & Mary(ピーター・ポール・アンド・マリー)」の「PUFF(パフ)」が流れていたりで、フォーク・ソングという音楽の存在を認識するのは簡単だった。

 

で、「風」というフォーク・ソングは、「原曲はどんな人が歌って、どんな演奏なんだろう?」という初めは少しの興味だけだった。学校で配られた楽譜にだったか、合唱用の歌集だったか?・・・、作詞が「北山修」、作曲が「はしだのりひこ」とあったので、自身で「はしだのりひことシューベルツ」に辿り着いたという記憶だ。

 

調べ始めたら、少しの興味だけのものも本家本元を確りと聴きたくなったのだよね。それで、例の物静かそうなオジさんが一人で開いている地元のレコード店へ。

既に3〜4年ほど前に出されたレコード盤がこのレコード店にあるのか?・・・そこからだった。

目立つところには置かれていない様子・・・、同類のジャンルのラックからレコード盤を静かに1枚1枚めくり上げながらチェックしていく。この頃から徐々にレコード盤の探し方と例の素早い手さばきを習得していったのだろう(笑)。でも、この当時はまだまだゆっくりと、そっと、レコード・ジャケットをチェックするのが精一杯だった。

え?店の人に聞いたら?・・・って、現在の私とは違うのだよ。非常に内向的な性格だったのだ。そんなことは出来ない・・・(汗)。

そのうちに、「あったぁ〜!」・・・きっと、小声だが心と共に叫んだはずだ(笑)。

 

フォーク・ソングという枠の音楽を、レコード盤で買った最初の1枚になった。

あ〜、確かに、第35回目で、初めて自分で買いに行ったレコードとして紹介した「青い三角定規」もフォーク・ユニットだった。でも、その「太陽がくれた季節」はフォークというよりはポップス要素の方が多分に感じられた音楽だ。やはり、「はしだのりひことシューベルツ」の「風」がフォーク・ソングという枠の音楽をレコード盤で何度も繰り返し聴いた最初の曲だったと、当時の小学6年生も思っていたはずだ。

 

振り返らずただ一人一歩ずつ

振り返らず泣かないで歩くんだ

 

曲全体の印象は、寂しいというか無力さを感じるのだったが、終盤のこのフレーズからは当時の小学6年生も少しだけ勇気らしいものをもっらた記憶がある。

はしだのりひことシューベルツの「風」を、「今日の一曲」としてご紹介させていただいた。