今日の一曲 No.45:F・シュミット作曲「(6本の)クラリネットのための六重奏曲(フランス・クラリネット六重奏団より)

「今日の一曲」の第45回目。

今回は、少しだけマニアックな音楽かな?

F・シュミット作曲「(6本の)クラリネットのための六重奏曲・作品128」を紹介させていただきながら、いつものように勝手に語らせていただこうと・・・(笑)。

 

これまでも、クラリネットという楽器にハマった経緯やフランスの音楽に関心を寄せた話については、幾度か書かせていただいている。

読まれた方は記憶にあるだろうか?

「クラリネットのような人になりたい」

と語ったほどだ(笑)。

それと、フランスの現代音楽作曲家のF・シュミットの楽曲を取り上げるのも2度目になる。第23回目(2017/02/16)では、吹奏楽曲『イチオシ曲』として、「ディオニソスの祭(通称「パリ・ギャルド」が演奏)」を紹介させていただいた。

 

で、本題に。

 

今回ご紹介の曲は、クラリネットだけの六重奏曲。中学生や高校生の頃に吹奏楽部などに入っていた人はご存知かも知れない。でも、あまり日本人全般に馴染みのある音楽とは言い難いかな・・・。

 

編成は、E♭クラリネット(高音域のクラリネット)、B♭クラリネット(一般に言うふつうのクラリネット)2本、E♭アルト・クラリネット(中音域のクラリネット)、B♭バス・クラリネット(低音域のクラリネット)、E♭コントラ・バス・クラリネット(最低音域のクラリネット)の6本・5種類のクラリネットで演奏されている。

 

ご紹介の盤は、「フランス・クラリネット六重奏団」の演奏を1992年に収録、1994年にフランスとオーストリアで発売となった輸入盤CDになる(上の写真)。

当然のことながら(?)、この演奏で使われているクラリネットは「フランス式クラリネット」(ドイツ式でなく)ということになる。

 

*E♭・・・ミの♭(フラット)のこと、ピアノのミの♭がこの楽器のドの音として記譜される。

*B♭・・・シの♭(フラット)のこと、ピアノのシの♭がこの楽器のドの音として記譜される。

 

・・・って、私もクラリネットにハマる機会がなければ、クラリネットという楽器にこんなにも種類があって、クラリネットだけで成り立つアンサンブル曲があるなんて、知ることも、聴くことも、そして驚くことも、無かったと思う。

 

F・シュミットの楽曲は、クラシック音楽が、バロック、古典などの時代から印象派の作品の時代に至るまで、脈々と積み重ねられてきた「形式」と「脱形式」のどちらも肯定的に捉えて、そこに新たな表現を求めた現代音楽に感じる。あくまでも私的な感じ方だよ。

この「(6本の)クラリネットのための六重奏曲」も4つの小品から成っているが、「形式」(秩序)的に感じたり、「脱形式」(無秩序)的に感じたりが、何とも個人的には丁度良く散りばめられているように感じる。ここに、「心地好さ」と「楽な感覚」があって、「安心感」と「自由さ」を同時に感じる。

5種類・6本それぞれのクラリネットの独自の音色と響き、混じり合って共鳴するアンサンブルの音が確りと届いてくる。更に、「ディオニソスの祭」のときにも書き記したように、シュミットの特有の音使いには、フランス語発音の言葉や会話が聞こえてくるかのようで・・・面白い。

 

さて、この音楽と出会った頃というと・・・。

地獄を見て救世主とも出会った職場から既に離れていた。ただ、その職場での約11年間で身に着けたスキルが幸運にも活きて、転職2年目にして新しい職場でも重要な役職に就かせてもらった。やりたいように思いっきりさせてもらっていた。その代わり、当然、その責任もプレッシャーも全て引き受けながらだった・・・。

 

そんな責任もプレッシャーもある仕事を離れた時間に、ふと独りで聴く音楽だった。

「形式」(秩序)と「脱形式」(無秩序)が織りなすバランスの面白さが、仕事での責任やプレッシャーからきっと解放してくれたのだと思う。心身を楽にしてくれて、ひと時、頭の中も空っぽにできた。

F・シュミット作曲「(6本の)クラリネットための六重奏曲」を、「今日の一曲」として御紹介させていただいた。